大震災被害者の思い託したリンゴ
エフエムあやべが中丹支援学校に寄贈
宮城・亘理町の特産品
番組聴取者からの浄財生かし
9月の台風18号で校庭が水没するなどの被害に見舞われた福知山市私市の府立中丹支援学校(碓井英善校長、139人)の子どもたちを元気づけようと、エフエムあやべ(本社・西町1丁目、井関悟社長)が16日、宮城県亘理町で生産されたリンゴ150個を同校に贈った。リンゴはその日の給食の献立に加えられ、味わった子どもたちは「おいしい」と笑顔になっていた。
今回の寄贈は、コミュニティ放送局「FMいかる」を運営する同社が、2年半前から亘理町に開局している臨時災害放送局「FMあおぞら」の番組支援をしていることが発端。
井関社長らは自社で制作している1時間の音楽番組「音楽の小箱」を毎週日曜に、FMあおぞらで放送している。この番組では綾部の情報なども盛り込んでいる。
9月22日の放送で中丹支援学校が台風の被害に遭ったことを伝えると、亘理町の匿名のリスナーから「被災した子どもたちのために」と手紙を添えて、現金5千円が送られてきた。
台風の大雨によって中丹支援学校は、校庭が高さ2㍍近くにまで水に浸かった。5台保有するスクールバスの1台は破損した。
水が引いても校庭の泥の除去作業が大変だった。2カ月余りたった11月下旬にやっと校庭が使えるようになったが、暗渠(あんきょ)工事の必要があるため、まだ完全な状態ではない。
亘理町のリスナーの手紙には「私も津波の被害を受けましたが、多くの人たちの支援を受け、少しずつ前に向かって歩んでいます」と書かれていた。
心を打たれた井関社長らは、亘理町の支援にもつながる方法で中丹支援学校の子どもたちを元気づけたいと考え、同町の特産品であるリンゴを贈ることにした。
リンゴは匿名リスナーからの5千円と、これまでにFMいかるに寄せられた大震災被災地への義援金約3万6千円に同社からの拠出金を加えた計5万円で購入した。
16日には井関社長と社員の真下加奈子さんの2人が中丹支援学校を訪問。井関社長から生徒の代表の田中慎二君(高等部2年)に段ボール箱に入ったリンゴが手渡された。
水口日菜乃さん(同1年)は、多くの人たちからの支援の気持ちをかみしめながら、「私たちは、これからもいろんなことに挑戦し、自分のできることを広げていきます」と述べて、感謝の気持ちを伝えていた。