念願だった独自の施設
「醤油作業棟」が完成
物部町 あやべ作業所に
社会福祉法人綾部福祉会(大槻弘和理事長)は19日、物部町のあやべ作業所敷地内に完成した「醤油(しょうゆ)作業棟」のしゅん工式を行った。青野町から移転したもので、作業棟での製造は今月下旬から始める。これまで旧京都醤油から無償で施設を借り受けていたが、同作業所は「念願の独自施設が完成した。腰を据えて更に販路拡大に努めたい」と意気込んでいる。
平成12年4月、醤油事業の閉鎖を検討していた旧京都醤油の井平清さん(故人)が同作業所を訪問。「作業所のような所なら醤油製造の仕事ができるのでは。少しでもみなさんの力になればと思っています」と打診があった。
この言葉を受けて検討した結果、同作業所と綾部共同作業所、社会復帰作業所「ともの家」で醤油事業部を設置。同年12月から事業をスタートさせた。16年4月からは綾部福祉会で事業運営することになり、製造はあやべ作業所が担当している。
完成した作業棟は鉄骨造2階建て延べ211平方㍍で、瓶詰めや火入れなど各工程のスペースを確保した。これまで仕事をする通所者は朝と昼の2回、同作業所と青野町を往復していたために時間的ロスが生じていた。今後はこの課題も解消し、作業効率が高まる。総事業費は2743万円で、このうち府から1千万円の補助を受けた。
事業スタートから10年間の年間売り上げは350万円~370万円で推移。昨秋には念願の新商品「すだちぽんず」「だし醤油」の販売を始めた。今秋には「ゆずぽんず」を投入する予定で、今年度は400万円の売り上げを目指す。今後はインターネット販売や地域を回っての車両販売などを考えている。
この日の式典で大槻理事長は「本部の敷地内に醤油作業棟が完成したことで53人の仲間がこの場所で一緒に仕事ができるようになった。夏と冬のボーナスが出るように頑張りましょう」とあいさつした。このあと、作業棟の完成までのスライド上映などもあり、出席者全員で施設の完成を祝った。