2019.03.04pickup02

連載 移住立国あやべ-2-

心ひとつに移住促進

官民連携へ動き出そう

プラスアルファの動きを

移住立国は官民連携による移住者歓迎ムードを盛り上げるプロジェクト

 市が発表した「移住立国プロジェクト」は、綾部の今後を左右する移住というテーマに行政が本腰を入れることを示すものであると同時に、行政から民間への「官民連携の提言」でもある。移住者を増やすことは多方面に大きなメリットをもたらす。同プロジェクトの狙いを市民一人ひとりが理解し、能動的に考え、動くことが期待されている。


 市は昨年の7月豪雨の影響で2019(平成31)年度は緊縮予算とせざるを得ず、移住促進施策に使える予算も限られている。しかし移住促進は市や国にとって待ったなしの優先課題。この難局を乗り越えるためには官民が連携し、自発的な動きが沸き起こる気運の醸成が必須だ。


 市は移住を考える人に向けたサービス「定住サポート総合窓口」に注力し、一定の成果を上げてきたが、移住促進に拍車をかけるためにはプラスアルファの動きが求められる。そこで期待されているのが、市民や自治会、団体、企業などが自発的に生み出す動きだ。


 図が移住立国プロジェクトの考え方だ。市は民間に対して移住立国の理念を共有化し、連携を呼びかける。場合によっては必要な制度を作り、許可、予算を出すことを検討する。民間からはアイデアや計画の自発的な提案があり、地域のために人材や人手を提供する。こうした動きによって、綾部の移住者歓迎ムードを高め、移住を考えている人に魅力が伝わるようになる。


 現在、行政が提供しているのは、すでに移住に関心を持ち、情報を能動的に集める段階にある人に対するサービスだ。それはたとえて言えば「目的を持って辞書を引く行為」に対応することである。そのために市の情報や空き家情報、移住者の声など、ニーズに応じることが有効になる。


 しかしそれだけでは人口減少を食い止め、さらに増加に転じさせるのは難しい。実現のためには、移住希望者が求めることの上を行く対応が必要だ。さらには「移住検討予備軍」の興味を喚起する方法も考えていくことが必要であり、そのためには官民がベクトルを一致させて連携する必要がある。移住立国の考え方はまさにその視点に立っている。
      =つづく

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