上杉谷領では処罰なし
古文書発見で新事実 綾部史談会の調査で判明
訴状への江戸幕府の回答書 穏便に農民の窮状解決
上杉町の塩尻弘さん宅でこのほど、江戸時代前期に記録された古文書が新たに見つかった。代官への不満などを書いて幕府へ送った上杉谷領の庄屋6人による訴状は既に知られているが今回、これに対する幕府からの回答書が出てきた。調査した綾部史談会(山崎巌会長)は「物事の一部始終が分かる貴重な資料だ」としている。
既に見つかっている訴状は延宝9年(1681)8月に送られたもので、22項目にわたる訴えがある。この中には、年末に年貢を納められない農民に代官が貸し付けをし、翌年に高い利息で返済させるなど、代官のやり方に対する不満が書かれており、借金が雪だるま式に増えて苦しんでいる農民の様子がうかがえる。
新たに見つかった回答書は4カ月後の天和元年(同)12月に届いたもの。22項目あった訴えのうち17項目が認められており、未納だった年貢の3分の2を免除するなど大幅な譲歩をし、穏便に解決したことが記録されていた。訴えた庄屋らへの処罰もなかったようだ。
この4年後には、十倉谷領でも年貢の減免を訴える出来事があったが、この時は訴えた者に獄門や追放などの厳しい処罰が下されている。このため、上杉谷領でも訴えが認められず、厳しい処罰が下されたと考えられていたが、それを覆す資料の発見だった。
※記事の一部を抜粋、全文は本紙で。