2025.01.17pickup01

インタビュー
聞き手 あやべ市民新聞社社長 髙崎健太
インスタの初代日本事業責任者 長瀬次英さんに聴く
「綾部出身」の価値高まる時代
人は「熱量」に引き寄せられる

熱量を持った発信の大切さを語る長瀬さん(大島町のあやべ市民新聞社で)

 「長瀬次英(つぐひで)」という人物をご存じだろうか。インスタグラムの初代日本事業責任者として日本でのインスタグラムの収益モデルを確立し、世界最大の化粧品会社ロレアルの日本法人では初代CDO(最高デジタル責任者)を務めるなど、トップマーケターとして日本のデジタルトランスフォーメーションを牽引(けんいん)してきた長瀬さん(48)=東京都=は、実は「綾部出身」だという。今回、日東精工での講演のため15日から4日間の日程で来綾した長瀬さんに、素朴な疑問をぶつけてみた。
 ―本当に綾部市出身なのですか。
 夏山病院で生まれて、1年間くらい過ごしました。父親が神栄に勤めていた関係で、当時綾部に赴任していたようです。
 ―その後は実家の神戸に戻り、中学・高校は米国だったそうですが、「綾部出身」とアピールされる理由は。
 綾部出身と言い始めたのは20年くらい前。インターネットの検索機能が発達し、誰でも調べられる時代になったからです。「綾部出身」というと「それはどこだ」と興味を持って調べていただけるので、「ネタ」としても使っています。また「ご縁」を大事していることも念頭にあります。今回綾部に来られたのも「ご縁」の一つ。「綾部出身」であることの価値は、誰でも知っている有名な町ではないからこそ高まっていると思います。
 ―今回、綾部を訪れたきっかけは。
 昨年夏、東京あやべ会の方から連絡をいただいて東京で綾部出身の方々とお会いし、日東精工での講演依頼をいただいたのがきっかけです。綾部の方からの連絡はこれが初めてで、「やっと来たか」という感じでした。うれしかったです。綾部には時々墓参りで来ているので今回は5年ぶりですが、綾部は空気が澄んでいて、空が広い。16日朝は山の雪化粧もきれいで心が洗われました。
 ―ご著書では自身の携帯番号まで明記されています。日頃から「熱量」「現場主義」の大切さを語られていますが、本当に誰が電話をしてもいいのですか。
 本を読んでもっと興味を持たれた方がどうすればいいかというと、それはもうぼくに電話するしかないですよね。おかしな電話は掛かってきません。覚悟を持って連絡をくださった方の熱量に応えることが大切だと考えています。15日には綾部高校でも講演しましたが、あとで何人かの生徒さんがインスタのDMで質問してくれましたのもうれしかったです。しょうもない話でもいいので、どなたでもご連絡をください。
 ―今後の活動予定は。
 最近は田舎の良さを生かして多くの人が楽しめる活動に力をいれていて、長野や新潟では古民家を再生し、人が集まる拠点にしています。今回、綾部に来て高校へ行ったり異業種交流会に参加したりすると、お会いした方の熱量が上がるのが分かります。要望があれば、ぼくの周りの熱量の高い有名な人たちも綾部に連れてきて、一緒に何かできればと思います。あと、5月25日の東京あやべ会では講演の依頼もいただいています。
 ―順番が前後しましたが、今の代表的な肩書きは。
 〝フリーター〟ですかね。もちろん会社の経営もしていますが、仕事は「ある時だけ」という感じです。本当にフリーターが駄目なのかというのは考えどころ。今の時代、肩書きがないと生きていけないというのも古臭いですよね。だから名刺にも、名前しか書いてありません。
 ―最後に読者のみなさんにメッセージを。
 綾部には皆さんが思っている以上にいいところがあるのに、まだまだ発信できていません。熱量の高いところに人は自然と引き寄せられていきます。もっと綾部愛、熱量を高めて発信すれば、いろんなことが起きてくるのではないでしょうか。

自身の携帯番号も記載されている
2020年の著書「マーケティング・ビッグバン」
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