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議会改革
行政の監視、批判、牽制機能発揮を
2004(平成16)年9月22日掲載
 平成18年8月31日までを任期とする第14期綾部市議会は、 今回の9月議会に22人の全議員で構成する 「議会改革特別委員会」 (佐々木幹夫委員長) を設置した。 議会改革の具体的な内容については今後協議するとのことだが、 第一義に 「言論の府としての立場を貫く」 という。 民主主義社会で市民・有権者に選ばれその代表として議会に立つ議員には、 言論の自由を今まで以上に行使すると同時に、 議会と行政との関係から、 行政への監視や批判、 牽制(けんせい)の機能を更に発揮することを求めたい。

 綾部市はこれまで、 「まちづくり」 のために市総合計画を策定してきた。 現在は、 平成12年度策定の第4次市総合計画に沿って行政運営がなされている。 ただ、 4市総を策定する前の3市総後期基本計画 (9年度〜12年度) のうち、 財政計画で市議会は、 自らの有するチェック機能を有効に果たせたのだろうか。

 たとえば、 この財政計画書では市の歳入額と歳出額を差し引きして31億円を超えるマイナスが生じるとの記載があるように、 初めから 「赤字」 になることを想定した計画が策定されていた。 議会はその内容について、 どの程度の論議をし市民が納得する答弁を得られたのか。

 地方分権一括法が平成12年4月に施行され、 「自己決定、 自己責任」 の 「地方主権の時代」 が本格化する今、 議会を改革しようとする議員自らの動きには、 大きな関心とその内容に期待が寄せられる。

 綾部市議会は、 これまでにも議会改革に取り組んだことがある。 第12期後半の平成8年12月には、 当時の4会派の代表などに正・副議長を加えた12議員で構成する 「議員定数等検討委員会」 を設けた。 名称にもあるようにこの検討委員会は、 当時24人だった議員の数を削減することが主たる課題で、 結果、 議員定数は 「22」 となった。 それと同時に同委員会では、 市が設置する審議会や委員会の委員に議員が就任することの是非も討議され、 委員にならないことを決めた。

 市の設置する各種審議会や委員会で議員が委員になると、 市の政策に策定段階から議員が参加しているため議会での審議が円滑になるメリットもある。 だが、 議会と行政とが 「馴(な)れ合い関係」 に陥る危険性を併せ持つともいえる。

 討議の結果、 平成10年7月6日に議会は、 就任半年目の四方八洲男市長に対し 「市議会議員の審議会等への参画の見直しについて」 と称する申し入れ書を手渡した。 申し入れは、 議員を委員に就任させないことについて 「議員の就任は、 行政と議会が対立型をとる民主的な地方制度の本来の趣旨に反する」 とし、 「行政執行に対する批判や監視、 牽制という議会本来の権能の審議権と市の執行権をお互いに守るという基本的な態度が必要だ」 と明言した。

 議員定数等検討委員会からの議会改革は、 第13期、 14期でも継続され、 審議会委員の件以外にも 「日曜議会の開催」 や 「議員の費用弁償の廃止」 「海外視察の凍結」 のほか、 まるで持ち回りのように毎年改選されていた正・副議長や監査委員、 常任委員長、 議会運営委員長などの2年任期制や 「議会だより」 の充実、 FMいかるの活用などにも取り組んだ。 綾部市議会の 「改革」 は、 全国の自治体の各議会からも多くの視察を受けるなど、 高い評価を受けている。

 にもかかわらず市議会は、 「まだ改革すべき」 「まだ改革できる」 と議員自らが判断し、 今議会に特別委員会を設置した。 その取り組み姿勢に敬意を表するとともに、 議会がこれまでの議会改革の取り組みも検証しつつ、 常に行政との緊張関係を保ちながら 「市民の代表」 としての権能を発揮することを期待したい。