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2007.1.1 NEWS INDEX & PHOTO NEWS



十二支の掉尾(ちょうび)を飾る 我は亥

本来、亥はブタのことですが…それはさておき
本州にはニホンイノシシが生息

  「亥(い)年」 の2007年が明けた。 十二支の最後で、 日本では 「イノシシ年」 と一般に言われるが、 干支(えと)が生まれた本場・中国では 「猪」 と言えばブタのことで、 亥年は 「ブタ年」 となる。 因みに中国でイノシシは 「野猪」 と書く。

 お隣の韓国では、 ブタは縁起のよい動物。 漢字の 「豚」 を韓国語読みした 「トン」 が、 「お金」 を意味する韓国語と綴(つづ)りが同じためで、 日本でもおなじみのブタの貯金箱が人気。 その韓国でも、 日本でいう亥年は 「ブタ年」 である。

 イノシシに話を戻そう。 イノシシは、 偶蹄目(ぐうていもく)イノシシ科に分類される。 世界には約30種の亜種があり、 日本にはニホンイノシシとリュウキュウイノシシがいる。

 ニホンイノシシは、 本州、 四国、 九州に分布する。 硬い毛が全身を覆っており、 体重は100キロから大きいものは200キロにもなる。

 先祖を同じくするブタと同じく、 イノシシは土の中の虫や植物の根を掘り返して食べるため鼻が特に発達している。 その力は強力で、 重さが何十キロもある石も持ち上げることができる。 木製の柵など鼻攻撃で破壊してしまうほど。 脚力も強く、 高さ1メートル程度の障害物でも助走もなしで難なく跳び越えてしまう。

 牙(きば)状に発達した下顎(あご)の犬歯がイノシシの特徴になっているが、 雄のそれは特に長くなっている。 牙は上向きに生えており、 害敵を認めると鼻先から突進し、 相手を持ち上げるようにして頭を大きくひねって弾(はじ)き飛ばす。 その強力な背筋も相まって、 人間の大人でも数b投げ飛ばす力があり、 命にかかわるけがをすることもあるから怖い。

イノシシの生息地は、 低山帯から平地にかけての雑草が茂る森林。 植物の地下茎や果実、 ミミズやヘビなど何でも食べる雑食だが、 基本的には草食だ。 かつてはめったに見かけることがなかったイノシシだが、 近年では生活圏を里山や住宅地にまで広げ、 農作物を食い荒らす嫌われ者の代表格として猛威をふるっている。

イノシシのゴンタ 綾部市内で捕獲されたイノシシは、 平成14年度に220頭だったのが、 16年度には408頭に急増した。 17年度は310頭と減っているが、 被害は相変わらずで、 市内のほぼ全域で年々被害が深刻化。 17年度の綾部市内のイノシシなど野生動物による農業関係の被害は1322万円にも上り、 関係者は頭を痛めている。

 足が短いため、 日本海側の豪雪地帯には分布しないとされてきたが、 近年は積雪地でも見られるようになり、 北陸や信州、 東北の山地でも確認されている。

 イノシシは落ち葉などを敷いてくぼ地などに巣を作り、 通常4月から5月ごろに年1回、 平均5頭ほどを出産する。 幼猪の体毛は薄い黄褐色で、 縦に走る縞(しま)模様がシマウリのように見えることから 「ウリ坊」 の異名がある。 この縞模様は授乳期が終わる生後4カ月ほどで消える。  

 イノシシの肉は古代から食用にされてきたが、 7世紀に仏教が伝来して教えが広まると同時に、 肉食の習慣が姿を消し、 イノシシも食材から消えた。 しかし、 一部の山間地などでは「山鯨(やまくじら)」などの名前で食べ続けられた。

 イノシシ肉は滋養強壮に効果があるとされ、「薬喰(くすりぐ)い」 と言われてきた。 イノシシ料理といえば 「ボタン鍋」。 特に寒い時期は高い需要があり、 市内でも上林地区の宿泊施設などでは、 冬の味覚の代表として人気のメニューになっている。


知能は犬レベルクリア
梅迫町の梅原敦美さん ペットとして飼育

 今年は亥年。 十二支の最後を飾るイノシシの年だ。 田畑の作物を食い荒らす 「ギャング」 ―。 そんなイメージが定着し、 里山では嫌われ者の代表格だが、 なんとそのイノシシをペットにしている人が東八田地区にいる。

 梅迫町の梅原敦美さん (66) で、 現在いるゴンタ (雄) は3頭目。 ゴンタはかなり大型に成長してしまったため、 今は檻(おり)の中で暮らしているが、 まだ小さかったころは庭を自由に走り回っていたという。

 周囲を山に囲まれた集落の中に梅原さん宅はある。 動物が大好きという梅原さんがこれまでに飼ったものを挙げると、 犬やウサギ、 ニワトリなどの家畜類は言うに及ばず、 シカやタヌキ、 キツネ、 カラス、 トンビといった野生動物も手なずけて、 ペットとして可愛がってきた。

 イノシシの近縁種といえばブタだが、 最近は、 ミニブタを生活のコンパニオンとして飼う人が増えている。 養豚場などで見かけるブタとは正反対に、 ブタが清潔好きな一面を持っていることは広く知られているが、 その知能については、 「ブタは最も聡明な四つ脚動物」 と指摘する動物学者もいるくらい、 知的な動物との評価が定まっている。 米国・ケンタッキー大学が犬とブタの知能について4年間研究し、 問題解決の能力や記憶力のテストを繰り返して比較した結果、 ブタに軍配が上がったという。

 ならば同じ祖先を持つイノシシの知能も相当なもの? 梅原さん宅のゴンタは、「来い」や「待て」 が出来るだけでなく、 車に「乗れ」と言えば、 ちゃんと自分から飛び乗ったというから、 犬のレベルは完全にクリアしている。 体が今ほど大きくなくて、 庭に放していたときは、 自由に動き回って、 逃げたりすることもなかった。 ただ、 庭をやたらと掘り返されるのには手を焼いたというが。

 犬のミニチュアダックスとビーグル、 軍鶏やウサギなどと一緒に生活しているゴンタの好物はジャガイモ。 食欲は驚くほど旺盛(おうせい)で、 主食にしているブタ用の飼料も次々に平らげるから、 食費もばかにならない。

 ゴンタは、 体重測定はしたことがないが、 かなりのヘビー級。 ちょっとふざけてぶつかっただけでもけがをしかねないサイズにまで成長したため、 ゴンタは檻の中で生活しているが、 梅原さんが小型の熊手を使って背中を掻(か)いてやると、 よほど気持ちがいいのか甘えるような、 うっとりとした目つきになったのが可愛かった。