エッセー「そこにある風景」出版
綾部出身の脚本家、荒木敏子さん
古里・早稲谷への郷愁を表現
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綾部市出身で、 ラジオドラマなどの脚本家として活躍する荒木敏子さん (47)
=横浜市=がこのほど、 子ども時代を過ごした奥上林の思い出を綴(つづ)ったエッセー
「そこにある風景」 (B6判、 80ページ) を新風舎から上梓(じょうし)した。
荒木さんの旧姓は伊東。 高知県出身の父、 道男さんの勤務の関係で、 故屋岡町初ノ前 (通称・早稲谷) に生まれ育った。 道男さん夫婦は平成11年まで45年間、 早稲谷に住み、 今は故郷の高知で暮らしている。
道男さんは昭和29年、 故屋岡町にあった中江産業の丹波事業所に転勤になり、 33年に荒木さんが生まれた。 この土地のことを荒木さんは 「私の育った故郷は、 三百六十五度見渡す限りの山並みの、 すり鉢の底のような谷間にある。 そして、 そこは 『どん詰まり』 の場所である」 と表現している。
同書には、 小学校まで往復8キロを毎日歩いて通学したことや、 川で泳いだこと、
近所の人々の思い出など、 四季折々の生活ぶりが綴られている。 最後に、 道男さん夫婦が高知に戻るため早稲谷を離れるシーンは、
読む者の胸を打つ。
荒木さんは 「両親への感謝と、 生まれた場所が誰だれの記憶にも残らない地になるのが切なくて書き始めた。 読んでいただいて、 みなさんの記憶に留とどまる場所になればうれしい」 と言う。 同書は1冊1050円。
問い合わせは新風舎(03・3746・4648) へ。
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