綾部の方言ってどんなんがあるんやろ? 明治維新後、 学校教育の必要性などから本来は東訛(なま)りだった言葉が
「共通語」 とされ、 大正時代にはラジオの登場とともに全国へ急速に広がった。
更にテレビの普及とともにその流れは加速度を増したが、 半面、 「昔ながらの方言や訛りがだんだんと消えていく」
と嘆く声もある。 そこで、 ごく一部ではあるが、 市内各地でこれまでに発行された郷土誌などに掲載されている
「方言」 や 「訛り」 をまとめ、 例文などを紹介しよう。
学問的に分析したものではないが、 綾部で使われている方言は、 いわゆる丹波弁を主として、
都(みやこ)言葉 (京都弁) や若狭弁、 丹後弁や但馬弁、 摂津 (大阪) 弁なども混じり合っているようだ。
最大の特徴として語尾に 「ちゃった」 がつくことが挙げられるが、 このほかにも、
助動詞としては 「や・じゃ」 (だ、 である)、 「やろ」 (だろう)、 「へん・せん」
(ない) などがある。 敬語の例文としては 「待っとってや」 (待っておられる)、
「おってない」 (おられない)、 「行っちゃった」 (行かれた)、 「しとんなる・しとっちゃ」
(しておられる) などになる。
更に例文を挙げると、 命令= 「もーねな」 (もう寝なさい)、 「早うせいやー」
(早くせよ) ▽希望= 「行ってーな」(行ってね)、 「待っとってーや」 (待っていてね)
▽疑問= 「見たんこ」 (見たのか)、 「これは何なら」 (これは何か) ▽問いかけ=
「帰ろかい」 (帰ろうか)、 「行こかえ」 (行こうか) ▽誘い促す= 「帰ろいや」
(帰ろうよ) ―。 「こ」 は疑問と断定に使い分けられ、 こんな会話も成り立つ。
「学校こここ?」 「ここじゃ」 「そうこ、 こここ」
方言を使った言葉の使用例をいくつか挙げてみると―。 意味は下表を参照。
「タンスと壁のアワサイにほこりが」
「きょうはエンバト留守で…」
「ガサイ人やなあ」
「蛇がおるゲナ、 怖い蛇じゃゲナ、 嘘じゃゲナ」
「セングリ、 セングリ回ってくる」
「古い服やけどダンナイわ」
「ちょっとそこにヘコって話そ」
「何とかムサクサ暮らしてます」
「ヨンノウ日が暮れたわ」
綾部で使われている言葉の中には、 この地方だけで使われていると思っていた言葉が広い地域で使用されているものもある。
また、「略したもの」 や 「転じたもの」 「古語」 の類などもある。
下表は、 参照資料=文末に掲載=に掲載されている膨大な量の方言・訛りの中から一部を抜粋して掲載した。
参照した資料と、 発行者は次の通り。
物部史誌(物部公民館)▽郷土誌・東八田(東八田公民館)▽山家史誌(山家公民館)▽大島町誌(中筋公民館大島分館)▽何鹿地方の方言について(井上益一さん)▽上林風土記(上林風土記編纂会)
|