梅小路蒸気機関車館
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SLが「シュッシュッ、ポッポ」
旧二条駅舎、扇形車庫なども保存
京都市下京区にある梅小路蒸気機関車館は、日本の鉄道開業100周年を記念して昭和47年に造られた。
大正から昭和にかけて製造された旅客用や貨物用などの国産の蒸気機関車が16形式で合計18両も展示されている。車両が格納されているのは、扇を開いた形をした「扇形(せんけい)車庫」。大正3年の建設当初の状態を保っており、鉄道建設史上、貴重なもの。梅小路機関車庫は平成16年に重要文化財に指定されている。
同館を訪れ、最初に迎えてくれるのは見覚えがある旧二条駅舎。明治37年に建設され、現存する日本最古の木造駅舎。平成9年に資料展示館として移築された。
駅舎を出ると、転車台を中心にして放射線状に敷かれた引込み線が目に入る。レールをまたぎ、車庫に向かうと、辺りがざわつき、カメラを手にした人が走り始める。
すると、懐かしい蒸気機関車の走る音が大きくなり、煙が見え、「ポーッ」と汽笛が響く。カーブから黒い車両が姿を現す。漂う匂(にお)いが石炭を焚(た)いた時のものだとすぐに分かった。決して鉄道ファンではないけれど、覚えていた。それほど幼い頃の生活に密着した匂いだったのかもしれない。
車庫には「デゴイチ」「デゴマル」「シロクニ」「貴婦人」「ポニー」などの愛称を持つ機関車が並んでいる。菊の御紋や鳳凰(ほうおう)が装飾されたお召し列車、細長い煙突のイギリススタイルの1070形1080号機、屋根がドーム状の「ナメクジ」。それぞれに特徴があり、ちょっとした違いを見つけると、うれしい。
精密で精巧な機器をフルに稼動させて、大きな車体を走らせる。自分の力で「シュッシュッ、ポッポ」と息を吐くように。その度に前へ進むのが蒸気機関車の魅力の一つ。かつての栄光と、力強さと迫力を感じた。
懐かしさと愛(いと)おしさが合い重なって車体にそっと触る人。珍しさや楽しさによって、あこがれの目でカメラを向ける人。来場した人たちの眼差(まなざ)しや接し方は年代によって、はっきりと違っていた。
ルート
国道9号で五条通りに入り、JR丹波口駅手前の高架下を右折して、道なりに1・5`。
メモ
開館時間=午前9時30分〜午後5時▽休館日=月曜▽入館料=高校生以上400円、4歳以上100円▽駐車料金=2時間以内700円(入場券を提示すれば500円)▽問い合わせ=@075・314・2996
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