手前が兵馬俑、奥がタージマハルの砂像
|
砂の彫刻家らの作品ずらり
「世界遺産・アジア編」をテーマに
鳥取砂丘で「世界遺産・アジア編〜アジアの風にのって〜」と題した砂像の展示がされている。
空気の通る網状のビニールの大きな建物の中に、砂丘の砂の色よりもかなり濃い色の茶色の砂の造形物が建っていた。
正面を見上げると、世界遺産の最高傑作の一つといわれるタージマハル。遠目にも真ん中の礼拝所の屋根の鋭いとんがり、両サイドの塔の渦巻き模様のきれいさ、繊細さが見て取れる。
中央の地面が掘り下げられ、秦の始皇帝の陵墓を警護する兵馬俑(へいばよう)が整然と隊列をなしている。片腕が落ちてしまった兵、背中が砕けた馬もある。
兵馬俑を取り巻くように壁面が彫刻に包まれたインドのカジュラホ寺院や、穏やかな微笑みを浮かべるカンボジアのアンコールトムが並ぶ。アフガン内戦で爆破されたアフガニスタンのバーミヤン大仏、イラクの宮殿を守護する人頭有翼の雄牛像など7つの砂像が建っている。
また、少し遊歩道を歩くと万里の長城、姫路城もある。
どう見ても砂には見えない。まるで磨かれた木のようなつやがある。法衣のドレープやふくよかな耳たぶの軟らかな丸み。突き出た屋根の張り、前に下がった手のひらも信じられないが、砂で出来ている。
この砂像を制作したのは、砂像世界選手権で優勝した茶圓勝彦さんを中心にした中国やイタリアなどの彫刻家8人。
木枠の中で砂と水を繰り返し混ぜ、密度の濃い硬い砂を作り削っていく。せり出した部分は、弓形に積み上げることにより上部の重さを支えるというアーチの理論に基づいてカーブが作り出され、保たれている。
大きな物でも高さは4メートルほど、制作日数は8日から12日。巨大ではないからこそ、万里の長城ですら見下ろす状態になり、全体像がしっかりとつかめた。
もろくて崩れやすいことの代名詞である砂で作られた作品。いろんな工夫を凝らし、手法を駆使しているとはいえ、像として立っていることに驚きと感動を覚えた。しかし、パンフレットの片隅には「天候や諸般の事情により一部展示作品が破損している場合があります」の断り書きがあった。
ルート
国道9号を走り、綾部から約130キロ(案内板有り)で右折し、鳥取砂丘道路を5キロ走った所。
メモ
会期=平成21年1月3日まで▽開館時間=午前9時から午後9時まで。夜間はライトアップ▽入場料=一般300円、小中高校生200円▽問い合わせ=0857・20・2231(鳥取砂丘情報館サンドパルとっとり)
|