本堂とイチョウの木
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重文の本堂や本尊が見もの
毎月第1日曜は観音市や写仏体験も
大陸と最も近い距離にあるため古くから大陸との交易や文化交流が盛んになり、多くの名僧たちがこの地から日本に上陸し京都や奈良へと上った福井県小浜市。
そのため、130を超える社寺、建物、庭や仏像などの文化財を今に伝え“海のある奈良”とも呼ばれている。
高野山真言宗羽賀寺(はがじ)は、松の美しい羽賀山の麓(ふもと)にある。鳳凰(ほうおう)が飛来しその羽根が舞い下りたのを、めでたいことの前兆とした時の女帝元正天皇の命を受け、霊亀2年(716)に、行基によって創建された。
寺町にある正暦寺で生まれ育った玉川正隆さんが現在、住職を務めている。
国の重要文化財の本堂は文安4年(1447)に再建、昭和41年に解体修理され今に至っている。桧皮葺(ひわだぶ)きの入母屋造りで、屋根の勾配(こうばい)のやわらかさ、軒回りの線が、とりわけ美しいとされる。
専門的なことはよく分からないけれど、屋根の四隅がスクと天に向かう様には、見る者の背筋をも伸ばす凛(りん)としたものを感じた。
本堂の前に1本のイチョウの木が立っている。節くれだったような表皮、幹の太さはかなりの樹齢を示している。
幹には大きな空洞がありながらも若い枝を張り、葉を茂らせている。そのうえ空洞の中で種類の違う木が枝葉を伸ばしている。老いた幹とみずみずしい葉、新たな命が印象的だった。
同寺の本尊、十一面観音菩薩像は元正天皇の等身像で行基の作と伝えられている。はっきりとした顔立ちでふくよか、艶(つや)やかで女性的な美しさと評されている。
長い手が特徴といわれているが、その先の指も優しく流れるような柔らかさを感じ、見とれてしまった。この本尊も重要文化財に指定されている。
羽賀寺では、毎月第1日曜に観音市が開催されている。午前9時から午後2時まで野菜や鮮魚、骨董(こっとう)品、古本などの店が並ぶ。同時開催として写仏体験もできる。9時50分に観音市の受付に集合するか事前に申し込んでおくこと。先着20人で参加料2千円。写仏体験、観音市とも毎年1〜3月は休み。
ルート
舞鶴若狭自動車道小浜西インターを下り右折、国道27号を走る。約1・3キロ先の交差点を左折。更に約1・4キロ先を右折し、こうのとり大橋を渡り終え、およそ1`の所で右折。山に入り、福井県立大学を過ぎると案内板あり。
メモ
拝観料=400円▽駐車場あり▽問い合わせは0770・52・4502。
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