顕微鏡で微生物を観察することもできる
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鳴き砂通じて自然環境を未来に
体験コーナーや漂着物などの展示も
かつては日本列島の至る所にあった鳴き砂の浜。
その砂は、ほんの少しの環境の変化で鳴くことをやめてしまうため、鳴き砂の浜はごくわずかになってしまった。
鳴き砂を接点として、豊かな自然環境を未来に伝えるためのヘリテイジ(遺産)センターとして平成14年、京丹後市網野町の琴引浜に「鳴き砂」をテーマにしたミュージアムがオープンした。
日本の鳴き砂の浜は、一直線上に位置している。科学的な根拠はないが、紛れもない事実で、その一直線を延ばしていくと、台湾や中国、ベトナムの鳴き砂の浜にもつながり、”謎の一直線”と言われている。
入館すると、古代中国でお金の代わりに使われていた子安貝が1人に1つ、プレゼントされる。
1階は鳴き砂の体験コーナー。まず目に入るのがカエルの揺りかご。ブランコの、人が乗る所が持ち手の付いたガラスの容器になっていて砂と水が入っている。鳴き砂は乾いていないと鳴かないが、揺りかごを揺らすことで水中でも鳴く砂が体験できる。揺らし方によって太い音や細い音が出せる。
また、少しずつ大きさが違う8つの器に砂が入っていて、棒で押すと「ド・レ・ミ」と音階が鳴る。多少ずれているところにかえって自然を感じた。
1階の中央にテーブルがあり、数人がうつむいて顕微鏡を覗(のぞ)いている。近寄ってみると、テーブルの上は砂の山。無言で覗いているおじさん。「きれいやなぁ」と交代で見ているカップル。「ほら、こうして」と孫に教えているおばあちゃん。
あまりにみんなが熱心なので「私も」という気になって顕微鏡を覗いてみた。薄茶の砂だと思ったのは、数ミリの微小貝や有孔虫、石英で、ピンクの巻貝、赤や白のやや長い巻貝、透明の石英などがはっきりと見えた。
一つひとつがきれいな色できちんと貝の形をしていた。物も言わずに顕微鏡の世界に引き込まれてしまう気持ちが分かった。
2階は日本海の環境保全について考えるコーナー。この浜に流れ着いた漂着物で、東南アジアや韓国、クウェート、アラブなどの外国からの物も展示してある。
ココヤシ、ハリセンボン、サメの卵袋、タツノオトシゴなどは海だから当然としても、ライターやおもちゃ、医療廃棄物、信号炎弾までもがあり、深刻な現状が伝わってくる。
そのほかにも、アオイ貝、ウミガメの骨格など海に生きる生物の標本も展示されていて、きれいな海を大切にしていかなければならないことを感じさせられる。
「鳴き砂の浜が泣き砂の浜」にならないようにの一言が心に残った。
ルート
国道176号で加悦町を経て野田川町で国道312号に乗り、網野町に入り琴引浜を目指す。
メモ
休館日=毎週火曜・年末年始▽開館時間=午前9時から午後5時▽入館料=大人300円。小・中学生100円。問い合わせは0772・72・5511。
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