大広間に展示されている色々な時代のかるた
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最先端技術で百人一首を紹介
体験型・参加型のテーマパーク
京都・嵯峨野。嵐山の保津川左岸にある小高い小倉山は日本を代表する古典文学のひとつ「小倉百人一首」の発祥の地でもあり、ここにあった山荘「時雨亭」で藤原定家が小倉百人一首を撰集したことから、小倉百人一首の殿堂として時雨殿(しぐれでん)が建てられた。最先端のテクノロジーを駆使し、百人一首の魅力をデジタルの世界で表現した体験型、参加型のテーマパーク。
市営駐車場に車を置き、観光客に交じり保津川沿いを歩く。ボートに乗る人、全国ランキング15位の人気があるソフトクリーム屋に並ぶ人、渡月橋をバックに写真を撮る人。だれもが秋の京都を満喫している。
入館すると和服姿の若い女性がすてきな笑顔で迎え、案内してくれる。「時雨殿なび」という携帯端末を借りて、床スクリーンに写し出された京都市街の航空写真の上で、お寺や名所までの空中散歩をする。
また、「なび」に出てくる百人一首と同じ札を、制限時間内に床スクリーンから何枚取れるかを競う遊びもできる。記憶の奥から百人一首を引っ張り出し、口々に歌を詠みながらスクリーンの札を探して右往左往する。
「体感かるた5番勝負」のコーナーでは、歴史上の歌人たちとかるた取りで対戦ができる。すだれで囲った4畳ほどの場に座ると、スクリーンに蝉丸や小野小町などが現れ、読まれるかるたを端末の画面に表示された6枚の札から先に取った方が勝ち。
こちらが先に取ると「さすがですね、参りました」などと褒めてくれる。かの名だたる歌人にほめられるのは、なんとも妙な面はゆい気分。
2階は廊下の片側がガラス戸になっていて、嵐山や保津川の景色が一望できる。反対側は120畳の大広間。百人一首の本格的な朗詠が流れていて、持統天皇や柿本人麻呂、紫式部などの人形が歌を詠んでいる。
今に生きる私たちが想像も及ばない社会背景や生活の中で詠まれた歌が、詠み人の知る由もない現代のハイテクを駆使したミュージアムで多くの人に親しまれている。それでも、故郷を懐かしむ気持ちや人を恋うる思いに変わりはないのだが、これを知ったら紫式部や清少納言はいったいどんな顔をするだろうか。
ルート
国道9号で京都市内に入り、千代原口の交差点を左折。府道29号から渡月橋を渡り右折して300bで市営駐車場。そこから川沿いを約300b東に歩く。
メモ
休館日=毎週月曜・年末年始▽開館時間=午前10時〜午後5時▽入館料=高校生以上800円、小・中学生500円▽専用の駐車場はないが、約1`東に市営駐車場がある。問い合わせは075・882・1111。
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