質志鍾乳洞
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ヒンヤリ 自然が築いた別世界
周辺はアウトドアライフのスポット
鍾乳洞は雨水や地下水が石灰岩の割れ目に流れ込み、 溶解侵食してできた空洞。
溶けた水がポタリポタリと落ちて岩から下がっている状態になっているものが
「つらら石」 、 下に生えているように見えるのは 「石筍(せきじゅん)」 と呼ばれる。
何万年もの年月を経てできる自然の造形物で、 石筍は100年で6ミリしか大きくならないとか。
府内で唯一の鍾乳洞が船井郡瑞穂町にあり、 周辺は森林公園としての設備が整えられ、
キャンプやバードウオッチング、 ハイキング、 昆虫採集などが楽しめる 「質志(しずし)鐘乳洞公園」
になっている。 年間3万5千人ほどの人が訪れるアウトドアライフのスポット。
この質志鍾乳洞は総延長52・5メートル、 最深部は25・1メートルあり、 規模は大きくないが、
高低差と上下左右の変化に富んだ複雑な洞窟(どうくつ)。
車を止め、 石造りの川に沿って新緑の山を登る。 山小屋風の管理棟、 木の橋を過ぎると、
木立に囲まれたバンガロー、 テントサイト、 ブランコや滑り台、 ミニアスレチックが設置された
「こども広場」 がある。
さらに登る。 少し急ではあるが、 150メートルほどの坂道なのに日ごろの運動不足がたたってか、
息は切れるし汗ばんでくるわで、 けっこうキツイ。
入り口で簡単な説明と2、 3の注意を受けて、 いよいよ鍾乳洞に入る。
ヒンヤリとした空気が汗ばんだ体に気持ちいい。 が、ホッとするのは、 ほんの一瞬。
これから下りる、 ほとんど垂直のハシゴを見てゾッとする。 自分の足を置く場所が見えないというのはかなり不安なもので、
恐る恐る、 一歩一歩足を下げていくうちに、 今度は冷や汗が吹き出す。 ほとんどの体重をかけて手すりにしがみついたからか、
手の指や腕がやたらだるい。
ハシゴを下り終え、 一息ついたとき、 先を行く男の子が、 頭上の洞穴にコウモリがいると教えてくれた。
暗くて何も見えない穴を凝視していると、 何かが目の前を通り過ぎていった。
思わず 「ワァー」 と叫ぶと、 「なぁ」 と得意気な顔。 「ほんまや!」 と驚いて見せたが、
実のところ、 ビックリしただけでコウモリかどうかは定かじゃなかった。
壁面のあちこちには、 水の流れによってできた凹凸が見事な模様になっていて、
お地蔵さんや建築物に見えたりする。
築き上げられた別世界の偉大さ。 洞穴を造ったり細い線を描いたりの、 大胆にして繊細な自然の芸術を見て、
「継続は力なり」 という言葉をしみじみと感じた。
ルート
新綾部大橋から国道173号を走り、 11・3キロで同公園の駐車場。
メモ
営業は午前9時〜17時。 無休(12〜3月は土、 日、 祝日のみ開園)。 入園料大人510円、
中学生以下300円。 有料で施設、 キャンプ用品の貸し出しをしている。 問い合わせは質志鍾乳洞公園事務所
(0771・86・1725) まで。
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