京都嵐山オルゴール博物館
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約3千点ものオルゴール所蔵
演奏聴きながらのレストランなども
オルゴールが奏でる華やかでいて気持ちを静める音色に心奪われた山田晴美さんが、
現代のオルゴール文化のシンボルとされるギド&ジャクリーン・リュージュ夫妻と運命的な出会いをし、
夫妻の遺志を継いで平成10年に館長となってオープンした。 ここには、 約3千点ものオルゴールが所蔵されている。
およそ200年前、 スイスの時計職人アントア・ファーブルが、 「時を知らせるため時計から音を出すことはできないものか」
と考え、 今でいうアラームのようなものを考案。 シリンダーと、 調律されたスチール製の櫛歯(くしば)のみを使って音楽を演奏する
「新分野の自動音楽演奏装置」 を発明し、 世界最古のオルゴールが誕生した。
観光地特有の土産物屋がズラリと並ぶ中に、 辺りとはまるで雰囲気の異なる重厚な建物。
1階はオルゴールや自動演奏楽器の生演奏を聴きながら食事と喫茶ができるレストラン。
オリジナルから世界最高級のものまでが置いてあるオルゴールショップもある。
2階は博物館。 直径約3センチで金むく製の豪華な印章が、 世界最古のオルゴール。
王冠のようなきれいな形をしていてガラスケースに納められている。
100年ほど前のオルゴールは、 穴の開いた銅のディスク板が十数枚並んでいて、
複雑なハーモニーや音色に深みを出すために数枚が同時に回るようになっている。
箱も大きなものが多く、 1メートルをゆうに超すようなものばかり。 シカの親子やイノシシ狩りなどの見事な彫りものが施してあるものや色の違う木を組み合わせたものなど、
工芸品としてもかなりの作品のように感じた。
目も楽しませてくれるのが、 からくり人形のオルゴール。 ペン先を目で追ったり鉛筆の粉を吹き飛ばす画家。
居眠りをし、 慌ててランプに火を灯(とも)す作家。 酔っ払って夢と現実の間をさまようオルガン弾きの物語仕立てのものもある。
足を組み替えたり首を振る仕草ばかりでなく、 精巧な仕掛けにより口ヒゲや舌、
鼻、 瞬きなどの細やかな動きで表情が変化する。
ほかにも、 自分のお気に入りの音楽を、 懐中時計や嗅(か)ぎたばこ入れ、
紙たばこ入れ、 付けボクロ入れ、 香料入れに仕込んだ小物も展示されている。
やわらかな音色、 やさしい音楽に包まれた空間。 取材を忘れて目を閉じ、
しばしゆったりとした気持ちになり聴き入ってしまった。
1時間に1回、 係員の説明と実演がある。
ザワザワと風に揺れ、 まぶしい何本もの木漏れ日が差す竹林道をゆっくりと歩く。
何とも言えない、 いい気持ち。 所々に竹細工や陶器、 漬物の店があり、 落柿舎、
天竜寺、 野宮神社なども近い。
ルート
国道9号で京都市内に入り、 千代原口の交差点を左折して府道29号を渡月橋に向かう。
渡月橋から北に300メートル(駐車場は博物館にはないが、 渡月橋のそばや、
JR嵯峨嵐山駅前などにある)。
メモ
火曜日休館。 午前10時から午後6時まで。 入館料は大人(中学生以上)1000円。小人(小学生)600円(保護者同伴なら300円)。
075・865・1020。
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