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ちょっと ドライブ
後ガ浜・立岩京丹後市丹後町間人
2004年(平成16)4月9日掲載
後ガ浜にある立岩

後ガ浜にある立岩

気持ち解きほぐせ、童心に帰れる

風光明美、丹波・丹後の文化発祥地とも



「間人」 と書いて 「たいざ」 と読む丹後町間人。 この独特の読み方は、 聖徳太子の母、 穴穂部間人皇后(あなほべのはしうどこうごう)が、 都の乱を逃れ、 この地に滞在していたことに関係する。 退座の際、 里人に感謝して 「間人村(はしうどむら)」 と名付けたが、 里人たちは恐れ多いと退座したことにちなんで、 「間人」 を 「たいざ」 と読むことにしたと伝えられている。

 間人には、 丹後半島の中でも水も景観もとりわけ美しいといわれている 「後ガ浜」 という海水浴場がある。 この浜には、 穏やかで優しい微笑をたたえた穴穂部間人皇后と、 元気そうで利発さをうかがわせ、 丸々として可愛い聖徳太子の石像が、 日本海に向かって建っている。

 海流の関係で古代には大陸からの使者船が漂着した所でもあり、 大陸文化の移入、 丹波、 丹後の文化発祥の地ともいわれている。

 この浜の東端に河口のある竹野川にかかる 「てんきてんき橋」。 周りの風景になんともそぐわない木の橋。 中央に荷車の車輪を半分にしたようなアーチがある。

 渡りながら川に目をやると大きなコイが2匹、 ゆったりと川上に向かっていく。 少し距離をおいてもう2匹。 その後ろからまた2匹。 春の陽気に誘われて散歩ならぬ 「散泳」 とでもいうのか。 見ているこっちものんびりと、 その姿を追う。

 また、 この浜には岩全体が見事な柱状節理の玄武岩からなる立岩がある。 河口を挟んで左右、 海の中に衝立(ついたて)のように立つ2つの岩。 周囲が1キロ余りもあるとか。 陸から海へと続いているのもある。

 黒々とし、 堂々としている姿はかなりの圧巻。 岩肌の柱状はきれいにそろって、 やや斜めの筋が海面から何本も突き出している。 壁面に植物は見えない。 これまでにもいくつかの海水浴場に行ったが、 初めての景観で、 息をのんだ。

 この立岩には麻呂子親王(聖徳太子の弟)の鬼退治の伝説も伝わっている。

 河口の左右に立つ岩の間は波が穏やかなのか、 300とも400とも想像のつかない数のカモメが、 波に身を任せて浮かんでいる。

 海もすでに春の色に変わり、 澄んでいる。 淡いベージュのやや粗い砂。 白い小さな巻き貝の貝殻。 沖を行くいくつかの船。 カモメの鳴き声。 波の音。 目に入るもの、 耳に届くものすべてが心地いい。

 泳ぐのもよし、 砂遊びもよし、 海を眺めるもよし、 砂浜に寝そべるのもよし、 かけっこをするのもよし、 日なたぼっこもよし。 お弁当を広げるのもいいかもしれない。 バーベキューなんかもしてみたくなる。

 大阪生まれの同行者。 コイを見ては 「ウワァ! 釣りがしたい」 と叫び、 カモメを見ると波打ち際へと走り出してしまう。 それほど気持ちを解きほぐし、 体が動いてしまい、 童心に帰らせてくれる所だった。

ルート
 京都縦貫道・宮津天橋立ICから、 国道178号、 国道312号、 国道482号を走ると、 丹後町。

メモ
 海岸線を20分余り走ると、 白亜の経ケ岬灯台。