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環境美化とごみ問題
デポジット導入でポイ捨て減に・・・
2005(平成17)年7月1日付掲載
 2月に地球温暖化防止京都会議があり、 3月には 「自然の叡智」 をテーマにした 「2005年日本国際博覧会 (愛・地球博)」 が愛知県で開幕。 6月は5日の 「環境の日」 にちなんで府内でも 「環境月間」 として様々な環境保全の啓発活動が展開された。 そこで、 身近な課題として環境美化とごみ問題について考えてみたい。

  「綾部中の生徒らが登校路クリーンアップ作戦」 「綾高野球部があやべ球場で清掃奉仕/少年野球2チームも綾部駅周辺で美化奉仕」 「市シルバー人材センターの会員ら地域の清掃など奉仕活動に励む」 ―。 これらは本紙の紙面を飾った記事の一例だ。 市内の自治会や婦人会を始め各種団体の取り組みも盛ん。 個人でウオーキングを兼ねて 「ポイ捨てごみ」 を拾う活動をしている市民もある。 しかし、 沿道や河川の堤防などにごみが散乱している光景は相変わらずである。

 ごみを減らすために有効な方法の一つとして考えられるのは 「デポジット (預かり金)」 制度。 国内でも近年、 同制度の取り組みを展開している地域や団体がある。 これは、 ビール瓶のように容器入りの商品を売る際、 価格に一定額を上乗せし、 消費者がその容器を返す時に上乗せした金額が返ってくる仕組み。 例えば、 学校内の清涼飲料水の自販機の紙コップにこの手法を取り入れて散乱ごみの減量で成果を上げた例もある。

 たばこの吸い殻や空き缶などの 「ポイ捨て」 に対して罰金まで規定している自治体も増えているが、 罰金よりもはるかに有効と思えるのがデポジット制度である。 例えば、 たばこや缶ジュースを買う時に吸い殻や飲んだあとの容器の引き取り料を上乗せしておき、 たばこの吸い殻1本を所定の所に持ち込めば1円、 空き缶1個で20円を払い戻すなどという制度を導入したらどうなるか。 「空き缶を捨てるなら、 ぜひ町内に!」 なんていうブラックジョーク的な看板さえ出かねないし、 道路沿いや野山で空き缶などを目にすることなど出来なくなるだろう。

 自動車は今年から、 環境問題に配慮してリサイクル費用を先取りしている。 家電製品なども、 現状のやりかたでなくデポジット制度を導入すれば山野や河川への不法投棄など皆無になるのだが、 業界が強く反対してくることは必至で制度化は難しい。 情けないが、 ドイツなどと違って日本の産業界の環境への意識はまだまだ低く、 票になりにくいことへの政治の動きも、 これまた鈍い。 ということは結局、 環境問題に対する国民の意識が低いことの裏返しとも言えるのではないだろうか。

 更にリユース、 リサイクル推進もまだまだという状況。 化学的な処理技術の問題もあろうが、 コスト負担をどうするかがネックになっているようだ。  

 根本的には、 自分たちの住む地域や自然を愛する気持ちが問われているのではないか。 「自然に親しみ、 環境問題について話し合う」 「クリーン作戦などに子どもから大人までが、 みんなで取り組む」 「リサイクルやごみの減量化、 スーパーの買い物袋の有料化や容器のリユースといった取り組みを進める」 ―。 綾部市の環境市民会議が提唱する 「マイバスケット」 の導入なども、 人や自然を愛する心が基本にあればこそだ。 「百年河清を俟(ま)つ」 ようだとあきらめてしまいそうになるが、 こうした地道な取り組みで 「地球 (環境) を大切に思う心」 を育んでいくことが、 遠いようで確実な方法といえるだろう。