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ちょっと ドライブ
氷上町立植野記念美術館氷上郡氷上町
2003年(平成15)10月10日掲載
植野記念美術館

植野記念美術館

トリックアート展にワクワク

25日からは子どもと楽しむ絵画展企画



 芸術の秋を気取ったのではないが、 兵庫県・氷上町の町立植野記念美術館で 「トリックアート」 を展示しているのを知り、 行ってみた。

 重厚でモダンな外観。 内・外装とも総花崗岩(かこうがん)積み。 館内にはつなぎ目のない直径9・4メートルの石の円柱が使われているなど、 美術館自体が他に類がないという貴重な石造建築物。

 展示されているのは、 日本国際美術展大賞やエンバ美術賞国立国際美術館賞、 日仏現代美術展大賞などを受賞した、 海外でも有名な国際的な画家、 四宮金一(しのみやきんいち)氏の絵画。 昨年は小磯良平大賞展で大賞を受賞している。

 トリックアートに胸をワクワクさせながら展示室に入る。

 まず驚いたのが変形カンバス。 切り絵のように部屋の鴨居(かもい)や柱が突き出ていたり、 積み上げた箱を描いた絵の上部がデコボコしている。

  「箱を上からのぞき込むような視点で描いた室内の俯瞰(ふかん)図、 黄色と緑を基調にした室内空間や人物表現」 が特徴とのこと。 そこに、 己の中の浮き沈み、 善悪、 社会と自分など、 実在感と非実在感、 私自身の不安と恐怖…などの思いが込められているという。

 難しいことは分からないが、 「平面に描かれた絵だ」 と、 いくら自分に言い聞かせても、 そうは見えない。

 床の穴はのぞきたくなるし、 部屋の隅には手を伸ばして確かめたくなるほど立体的な奥行きを感じる。 描かれた影なのか、 部屋の照明による影なのか、 凝視すればするほど分からなくなる。

 右から見れば手前が狭くて左の上部分が広く感じられるのに、 同じ絵を2、 3歩左に移動するだけで左がいきなり狭くなり、 右下部分が広く感じられる、 なんとも不思議な絵もある。

 画家の思うつぼ。 意図する 「視覚の錯覚によるトリック」 にまんまとはまってしまっていることは承知していながら、 悔しいほどにトリックアートの世界に引きずり込まれてしまう。

 ストレートに不思議なトリックアートが楽しめると同時に、 視覚の当てのなさや錯覚の面白さ、 怖さを感じた。

 トリックアート展は10月19日まで。 10月25日からは 「子どもと楽しむ静物、 風景画展」 が企画されている。

 国内外の画家の油絵や日本画を展示し、 描き方や視点、 考え方の違いを感じてもらうのが狙い。

 絵を通じて子どもの持つ厳しい目、 やさしい心、 豊かな創造性が 「心の力」 となるよう導き育んでいきたい。 子どもも大人も感動を共有し、 語り合える展覧会ができるような環境が当たり前の情景となることを願って開催される。

ルート
綾部から兵庫県・市島町に入り、 国道175号で氷上町へ。 同町稲継の交差点を右折し、 2キロ余り先の信号を左折して500メートル。

メモ
 開館時間は午前10時〜午後5時 (入館は同4時30分まで) 。 月曜日休館。 入館料は大人500円、 学生300円、 小・中学生200円。 0795・82・5945。


植野記念美術館ホームページ   http://www.city.tamba.hyogo.jp/edu/bunka/rekisi03.htm