2019.02.25pickup01

移住立国あやべ-1-

「移住立国」スタートへ

30年後に人口4万人目指す

市の移住促進プロジェクト

官民の総力で環境づくりを

移住立国あやべ

都市と地方の両輪がバランスよく回らなければ国は健全でいられない

市の2019(平成31)年度当初予算案が発表された。新たな事業の中で特に目を引いたのは「移住立国プロジェクト」への取り組みだ。これまでも地道に定住促進に注力してきた市が、さらに移住者を迎えるための方策を加速させる。「移住立国」の意味するところは何なのだろうか。あやべ市民新聞でも同プロジェクトを全面的に後押しし、綾部や国の活性化を目指す。今後「移住立国あやべ」を不定期連載して、地域の移住促進への取り組みや移住対策事例の紹介、プロジェクトへの提言などを行っていく。

「移住立国」は市がスタートさせた移住促進プロジェクト。目標は「30年後に人口4万人のまち」としている。30年前、市の人口は約4万人だったが、その後、現在に至るまで減少し続けてきた。それを同じ年数をかけて元々のレベルに戻そうという、まさに「V字回復」を目指すプロジェクトだ。日本の人口が下降局面にある現在、この目標値はどう受け止められるだろうか。

移住立国は、移住・定住の促進を通して綾部を活性化し、持続可能なまちを次世代に引き継ごうという考え方に立つ。ただし、綾部だけが恩恵を享受するのではなく、大都市から地方への移住を促すことで、国全体の健全化を図る「国策としての地方の実践」という意味を含んでいる。移住促進によって国を活性化するということから「移住立国」と名づけられた。

人口減少はさまざまな弊害をもたらす。税収が減り、水道事業や道路行政といった社会基盤の維持が困難になる。地域コミュニティが衰退し、自治が機能しなくなる。こうして綾部の魅力が失われると新たな定住者を呼び寄せる力がなくなり、負のスパイラルに陥る。さらに第一次産業が弱体化し、国の食料自給率のさらなる低下や耕作放棄地の増加を招き、国力の衰えに歯止めがかからなくなる。

こうした事態を重く見た国は、東京一極集中の現状を解決するために、東京圏在住の人が地方に移住したり、移住先で起業した場合、最大300万円の支援金を支給する制度を開始した。国が本腰を入れ始めたことで、地方も一斉に移住促進に注力することは必至。そんな中、綾部は移住立国プロジェクトで先進的に取り組む姿勢だ。

市は同プロジェクトを、行政のみの取り組みではなく、市民・団体・企業が同じ目標を共有し、自発的な活動が次々と湧き出てくるものにしていく考えだ。今年度を皮切りにそのための環境づくりを目指すという。
=つづく

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